Tabla Tarang
Indian Classical Vocal Music & Tabla
印度古典声楽とタブラ(北印度打楽器)

Indian Music

インド音楽と西洋音楽との相違

ただいま工事中です。

インド音楽と西洋音楽とのいちばん大きな違いは何でしょうか?

それはインド音楽には基本的に和音(コード)が使用されないということです。

したがって西洋音楽が多種多様な楽器を使って演奏される、オーケストラが

あるのに対し、インド音楽はメインの演奏者の他にリズムを奏でる打楽器奏者の

二人が最小のユニットになります。声楽の演奏の場は、歌の旋律をフォローし、

残響的効果の役割をする楽器伴奏者が一人から二人、打楽器奏者、そして基本音階を

奏でるタンプーラ奏者が付きます。その他、器楽の演奏の場合もタンプーラ奏者が一人

か二人,それに打楽器奏者が付く程度の編成でおこなわれます。

西洋音楽がハーモニーを使って音の旋律を美しく装飾しているのに対して、インド

音楽は単音を装飾する様々なテクニックが考え出されました。

インド音楽の2つの柱

インド古典音楽において最も重要な要素が2つあります。それはスワル=音と

ラヤ=リズム(スピード)です。インド古典音楽にはメインの演奏者とその伴奏

をする打楽器奏者が必ず必要です。打楽器奏者は決められた拍数、符丁を繰り返し

演奏し、その演奏にあわせてメインの演奏者は、そのラーガのバンディッシュ

つまり作曲されたメロディー、そして即興演奏を展開していくのです。

 繰り返されるリズムサイクルの第1拍目をサムSamといい、それが最も重要な

拍になります。インド音楽の演奏者は常にこのサムSamを意識しながら複雑な

リズムパターンのメロディーを駆使していき、演奏の区切りはかならずサムSamに

帰結します。これがインド音楽の醍醐味ともいえます。

インド音楽の音階

西洋音楽における音階名とインド音楽の音階名とは異なります。

西洋音楽の全音階名は、

C  D  E  F  G  A  B ないしは

ド  レ  ミ  ファ ソ  ラ  シ です。 それがインド音楽では

 

 

Sa  Re  Ga  Ma  Pa  Dha  Ni となります。

サ  レ  ガ   マ  パ   ダ   ニ

 

 

 

このサレガマパダニは省略した呼び名で正式には

略名 

正式名

西洋音名

Sa

Sadja サドジャ

C  ド

Re   

Reshab レシャブ

D  レ

Ga

Gandar ガンダール

E  ミ 

Ma 

Madhyam マディヤム

F  ファ 

Pa

Pancham パンチャム

G  ソ

Dha

Dhaivat ダイワット

A  ラ 

Ni

Nishad  ニシャド

B  シ 

 

 

 

 

 そしてこれらの音階は“スワルSwar”と呼ばれます。スワルには以下の3種類が

あります。

(1)シュッダ Shuddha(2)コマル Komal(3)ティブラ Teevra

 

 

(1) シュッダ スワル Shuddha Swar

これは長音階の音の意味で、英語ではメジャースケールMajar Scaleの事。

C D E F G A B=ド レ ミ ファ ソ ラ シ

=Sa Re Ga Ma Pa Dha Ni

 

(2) コマル スワル Komal Swar

これは短音階の音の意味で、英語ではマイナースケールMinor Scaleの事。

D♭ E♭ A♭ B♭=レ♭ ミ♭ ラ♭ シ♭=Re Ga Dha Ni の半音下がりの音の事。Re Ga Dha Ni

 

(3)ティブラ スワル Teevra Swar

これは唯一、F=ファ=マ Madhyamに適用されるもので、半音上がりの音の意味で、英語ではシャープノートSharp Note。

F♯=ファ♯=Ma?

 

以上述べてきたことを総合しますと、1オクターブ(Cから上のCまで)の中には

12音階があることになります。つまり、

C D♭ D E♭ E F F♯ G A♭ A B♭ B =

Sa Re Re Ga Ga Ma M?a Pa Dha Dha Ni Ni 

です。

 

注:コマル音の表記は音名の下に線が入り、ティブラ音は音名の上に縦線が入ります。

 

インド音楽においては全音階の事をサプタクSaptakと言い、低い音の全音階をマンディラ.サプタクMandira Saptak、普通の高さの全音階を、マディヤ.サプタクMadhya Saptak、高い音の全音階をタール.サプタクTaar Saptak、と呼んでいます。


ラーガ Raga

ラーガという言葉はサンスクリット語の“ランジャRanja”から派生しました。

ランジャとは“喜び”ないしは“心地がよい”という意味があります。それ以外にも

“ラングRang”(色彩、楽しさ)から派生したという説もあります。ラーガも精神

(気持ち)に喜びを与えるものです。そしてラーガを音楽的に定義すると

 ラーガとは“スワル 音”と“ヴァルナ 様式”の音色の優美さによって発生する

美(芸術)であり、それは聴く人の心に喜びを与えるものである。一般的な解釈は、

音楽的な音の配列(連続した音の群)が耳に心地よく響き、音楽に対しての人の望みを

満足させるものである。   技術的にラーガを定義すると

ラ−ガとは特定の音の上昇、下降を持った作曲、即興演奏の為の規則である。各

ラーガには特有のフレーズ(メロディー)があり、それがそれぞれの特徴になっている。

ラーガを英語に訳すなら“MelodyType“という言葉が最も適当である。 

ラーガを構成するうえで必要な要素は、?特有の音の組み合わせ ?“スワル 音“

と“ヴァルナ 様式”の存在 ?美しさ(ランジャクタ)です。

 

この“ヴァルナ Varna”というのは演奏、歌、の様式ないしは施法の事で、

連続した音の順列秩序を表しています。ヴァルナには4つの種類があり、それらは

(1)スタイヴァルナ (2)アロヒヴァルナ (3)アワロヒヴァルナ

(4)サンチャリヴァルナです。

(1) スタイヴァルナ Sthai Varna

同じ音(程)を繰り返して演奏すること。

例:Sa Sa Sa Sa Ga Ga Ga Ga

(2)アロヒヴァルナ Arohi Varna 

Sa(C)から始まりNi(B)までの上昇する音程を演奏すること。

例:Sa Re Ga Ma Pa Dha Ni

(3)アワロヒヴァルナ Awarohi Varna

Ni(B)からSa(C)までの下降する音程を演奏すること。

例:Ni Dha Pa Ma Ga Re Sa

 

(4) サンチャリヴァルナ Sanchari Varna

前記したスタイ、アロヒ、アワロヒヴァルナを混ぜ合わせて演奏すること。

例:Sa Re Sa Re Ga Ma Pa Dha Pa Ma 

Ga Ga Ga Ma Pa

次にランジャクタ Ranjaktaとは、美しさないしは音楽的な価値を

表しています。無秩序な音の配列は音楽的な価値がありません。例えば、

Ga Ni Re Dha Ga Ma S?a Pa Re Ga Ni

これらの音の組み合わせは連続もしておらず、メロディーともいえず、美しい

とはいえません。こういったものをランジャクタがあるとはいえないのです。

ラーガの一般的原則

(1)ラーガはタータ Thataから派生している。

(2)ラーガは音の上昇、下降に決まった順序を持っている

例:Sa Re Ga Pa Dha S?a 上昇

  S?a Dha Pa Ga Re Sa 下降

(3)ラーガは最低でも5つの音から構成されている。

(4)ラーガにはSa(C)の音が欠けることはない。

(5)ラーガには同じ種類の2つの音が連続してあってはならない。

つまりGa(E) Ga(E♭)が連続して使用されない。

しかしいくつかのラーガに例外が存在している。

(Raga Lalit等)

(6)ラーガにはMa(F),Pa(G)が2つ同時に欠けることは

ない。少なくとも2つのうちどちらかが存在する。

(7)ラーガにはかならずワディスワル Vadi Swarが存在する。

ワディスワルはそのラーガの支配的な音である。言い換えると

ワディスワルはそのラーガを構成する音の中で最も強調される、

その曲の核となる音である。 

(8)ラーガにはワディスワルとともにサムワディスワルSamVadi

Swarが存在する。サムワディスワルとはワディスワルと協和する

音で、ワディスワルに対して4度ないしは5度の音がそれに相当する。

例:仮にSa(C)がワディスワルの場合サムワディスワルにはMa(F)

      ないしはPa(G)が相当する。Ga(E)がワディスワルの場合は

      サムワディスワルはDha(A)ないしはNi(B)。 

(9)ワディスワルに対して不協和の音ヴィバディスワルVivadiSwarも

ラーガの中で非常に控えめに使用される。これはラーガの美しさを引き出す

為である。しかし、この不協和音は適切な使用をしないとまったく逆の効果

をもたらしてしまうことがある。

ジャーティ Jati(ラーガの分類1)

ヒンディー語のジャーティの意味は種族、種類などです。ラーガはその使用する

音の数によって3つの種類に分類されています。 その3種類とは

(1)オダワジャーティラーガ Oudava JatiRaga

(2)シャダワジャーティラーガ Shadav JatiRaga

(3)サンプルナジャーティラーガ Sampurna JatiRaga 

(1) オダワジャーティラーガ Oudava JatiRaga

ラーガが音の上昇下降ともに5つの音を使用して構成されているもの。

英語ではペンタトニックスケール(Pentatonic Scale)

(2)シャダワジャーティラーガ Syadava JatiRaga

ラーガが音の上昇下降ともに6つの音を使用して構成されるもの。

英語ではヘクサトニックスケール (Hexatonic Scale)

 

(3)サンプルナジャーティラーガ Sampurna JatiRaga

ラーガが音の上昇下降ともに7つの音を使用して構成されるもの。

英語ではヘパタトニックスケール (hepatatonic Scale)

しかしラーガによっては音の上昇には5音を使い、下降には6音を使うものや

音の上昇には6音を使い、下降には7音を使うものなど、様々な取り合わせが

あります。これらはオダワ−シャダワジャーティ、シャダワ−サンプルナジャーティ

というように呼ばれます。これらを総合すると、ジャーティは全部で9つになります。

(1)オダワ Oudava

?オダワ−オダワジャーティ Oudava−OudavaJati=5音−5音

?オダワ−シャダワジャーティOudava−ShadavaJati=5音−6音

? オダワ−サンプルナジャーティOudava−SampurnaJati

=5音−7音

         

(2)シャダワ Shadava

?シャダワ−シャダワジャーティ Shadava−shadavaJati

=6音−6音

?シャダワ−オダワジャーティ Shadava−OudavaJati

=6音−5音

?シャダワ−サンプルナジャーティ Shadava−SampurnaJati

=6音−7音

(3)サンプルナ Sampurna

? サンプルナ−サンプルナジャーティSampurna−SampurnaJati

=7音−7音

? サンプルナ−オダワジャーティ Sampurna−OudavaJati

=7音−5音

? サンプルナ−シャダワジャーティSampurna−ShadavaJati

=7音−6音

タータ Thata(ラーガの分類2)

 

 インド古典音楽においては1オクターブの中に12音のスワルが認められていて、

それらは

Sa,Re,Re,Ga,Ga,Ma,M?a,Pa,Dha,Dha,Ni,Ni

です。タータはこの12音を組み合わせたもので7音(全音階)のことをいいます。

これら7音の組み合わせは数学上では72通りのタータが算出されますが、実際に

ラーガを構成する為のタータはそのうち10通りが認められています

タータは、それまではっきりとしていなかった、各ラーガの音階における分類をする

為に考案されたもので、様々な音のバリエーションによって構成されているラーガの

使用されている音階だけをとりあげて、10タイプに割り当てたものです。したがって

そのタータに分類されているラーガが、タータに指定された音階だけを使って構成され

ているとは限りません。そうした理由で、音楽学者によっては同一ラーガを他の学者とは異なったタータで分類している場合もあります。            

 タータの要素

(1) タータは7音から構成されている

(2)タータは連続した音階から成る

(3)タータの名前はそれぞれのパターンの代表的なラーガからつけられている。

以下、10のタータ名とその音階

タータ名

音階

1ビラワルBilawal

Sa Re Ga Ma Pa Dha Ni

2カルヤンKalyan

Sa Re Ga M?a Pa Dha Ni

3カマージKamaj

Sa Re Ga Ma Pa Dha Ni

4バイラワBhairav

Sa Re Ga Ma Pa Dha Ni

5プールヴィPoorvi

Sa Re Ga M?a Pa Dha Ni

6マルワMarwa

Sa Re Ga M?a Pa Dha Ni

7カフィKaphi

Sa Re Ga Ma Pa Dha Ni

8アサワリAsawari

Sa Re Ga Ma Pa Dha Ni

9バイラビBhairavi

Sa Re Ga Ma Pa Dha Ni

10トディTodi

Sa RE Ga M?a Pa Dha Ni

例えばラーガ ビハーグRaga Bihagの場合、音上昇(アロホAroh)は

Sa Ga ,Ma Pa ,Ni ,S?a  音下降(アワロホAwaroh)は

S?a Ni Dha Pa ,M?a Pa,Ga Ma Ga ,Re Sa

となり、中世の時代ではこのラーガにおいてティブラ Maの使用は、ヴィバディスワル

と同じ扱いで非常に少なかったのですが、現代に入るとシュッダ Maと同等に使われる

ようになりました。ということはラーガ ビハーグには2つのMaが存在することになり、

以前は、使用する音階がすべてシュッダスワルと言う理由から、ビラワル タータに属していると考えられていましたが、現在ではティブラ Maの使用によって、カルヤン 

タータにも属していると考えられています。

別の例をあげると、ラーガ ジョグRaga Jogの場合、アロホArohは

Sa ,Ga Ma ,Pa ,Ni S?a アワロホAwarohは

S?a Ni Pa ,Ma Ga Ma ,Ga Sa  と、なりますが

このラーガはカマージ タータに分類されています。事実、音階だけを取り上げて考えて

みますと、コマル Gaそしてコマル Niが使用されている点から、カフィ タータに

属しているとも思われますが、実際の演奏ではコマル Gaの使用は音下降、アワロホ 

Awarohだけに限られており、使用頻度も少ないことから、シュッダ Ga、優先で

このラーガはカマージ タータ所属になっているのです。


プールヴァ ラーガ  P o o r v a R a g aと

ウッタル ラーガ Uttar Raga

北インド古典音楽では、ラーガを前述のジャーティとは別に2種類に分類しています。

分類の方法として1つはそのラーガが演奏される時間帯によるもの そしてもう1つは

そのラーガのワディスワル(最も強調される音)によるものです。

?時間帯による分類

インド音楽学者は1日の24時間を12時間ずつの2つの時間帯に分けて考えました。

1つは昼の12時から真夜中の12時まで、そしてもう1つは真夜中の12時から次の

日の昼12時までです。そして、

(1) 昼の12時から真夜中12時までの間に演奏されるラーガをプールヴァ ラーガ

と、いいます。

(2)真夜中12時から次の日の昼12時までの間に演奏されるラーガをウッタルラーガ

と、いいます。

プールヴァンガワディ ラーガ Poorvangawadi Ragaと

ウッタランガワディ ラーガ Uttarangawaadi Raga

?ワディスワルによる分類

1オクターブの音階(Sa Re Ga Ma Pa Dha Ni S?a)を

低い音階4音Sa Re Ga Maと高い音階4音Pa Dha Ni S?a

の2つに分けて考え、そして、

(1)ワディスワルが低い音階(Sa Re Ga Ma)のどれかに当てはまるラーガ

をプールヴァンガワディ ラーガと、いいます。

(2) ワディスワルが高い音階(Pa Dha Ni S?a)のどれかに当てはまる

ラーガをウッタランガワディ ラーガと、いいます。

そしてプールヴァンガワディ ラーガは通常昼の12時から真夜中12時の間に演奏され、

ウッタランガワディ ラーガは通常真夜中12時から次の日の昼12時までの間に演奏

されます。 

しかし現代の音楽学者は プールヴァンガワディを、SaからPa、そしてウッタランガワディをMaからS?aとして認識しています。その結果Ma、Paがプールヴァンガ、ウッタランガ両方に当てはまるということになっています。

ラーガの演奏時間

インド音楽の特徴の1つとしてラーガの演奏時間割、つまり演奏時間を決定する原則、

があげられます。この時間原則は古代から伝わっているもので、インド音楽学者のすべてがこれを承認しています。長いインド音楽の歴史の中で、この原則はいつも固く守られてきました。演奏家はその演奏する時間帯によって、原則に定められたラーガを演奏してきました。それは、その時間帯に割り当てられたラーガが聴衆に最も感銘を与えることができると考えられているからです。しかし時代は変わり、音楽を演奏する環境も変わりました。昔は皇帝、王族等の限られた人の為に演奏することが多かったわけですが、現在は

コンサートホールなど、大勢の聴衆の前で、限られた時間内に演奏することが多くなり

ました。その為に現在では時間割の原則は厳密には守られなくなっています。しかし多くの演奏家がそのときに演奏するラーガを決めるときには、この原則を参考にしています。

ラーガの時間原則を理解する為に、前述した“ラーガの10のタータ”(メロディタイプ)

を思い出す必要があります。それらは、1ビラワルBilawal,2カルヤン

Kalyan,3カマージKhamaj,4バイラワBhairav,5プールヴィ

Poorvi,6マルワMarwa,7カフィKaphi,8アサワリAsawari,

9バイラビBhairavi,10トディTodi,です。そしてこれら10のタータは

3つのグループに分類されます。

? Re(D)、Dha(A)、が長音階(シュッダスワル)のラーガ。これらは1ビラワル

2カルヤン、3カマージ、タータに属するラーガが当てはまります。

?Ga(E)、Ni(B)、が短音階(コマルスワル=♭)のラーガ。これらは7カフィ

8アサワリ、9バイラビ、10トディ、タータに属するラーガが当てはまります。

?Re(D)、Dha(A)、が短音階(コマルスワル=♭)のラーガ。これらは

4バイラワ、5プールヴィ、6マルワ、タータに属するラーガが当てはまります。

そして、それら???のグループは以下の表のように演奏時間が割り当てられています。

時間

7−10時

10−4時

4−7時

音階の条件

Re、Dhaシュッダスワル

GaNiコマルスワル

ReDhaコマル

スワル

属するタータ

ラーガ

ビラワルBilawal

カルヤンKalyan

カマージKamaj

カフィKaphi

アサワリAsawari

バイラビBhairavi

トディTodi

バイラワBhairav

プールヴィPoorvi

マルワMarwa

表は午前午後共通です。

以上のようなラーガが1日24時間の中で午前と午後2回演奏されるわけです。

そして特に午前、午後の4時から7時までの時間はサンディ プラカーシュ サマイ

(Sandhi Prakash Samay)と呼ばれています。

サンディ プラカーシュ サマイとは、 サンディ(出会う、いっしょになる)、

プラカーシュ(光)、サマイ(時間)の意味どおり、闇夜から光が差して太陽が昇る

時間、そして、太陽が傾き、光がかげり闇に包まれる時間のことをいいます。

言い換えれば、“光と影が出会う時間”、と言うことができると思います。

この時間にはRe、とDha、がコマルスワルのラーガ=バイラワ、プールヴィ、

マルワ、タータに属するラーガ、が演奏されるわけです。

詳しくいいますと、午前4時から午前7時までに演奏されるラーガにはRe レ コマル

Dha ダ コマルの音が一度に両方欠けることはありません。そして、午後4時から

7時までに演奏されるラーガにはレ コマル、ダ コマル、の他に、Gaガ シュッダ 、Niニ シュッダ、の音の両方ないしはどちらかが必ず含まれています。

その後、午前、午後7時から10時までの間はRe レ シュッダ、Dhaダ シュッダ

スワルのラーガ=ビラワル、カルヤン、カマージタータに属するラーガ、が演奏されます。

次いで、午前、午後10時から4時の間はGaガ コマル、Niニ コマルスワルの

ラーガ=カフィ、アサワリ、バイラビ、トディタータに属するラーガ、が演奏されます。

(Niに関しては、シュッダ、コマル両方とも可能。)

そしてそれぞれのラーガは前述したプールヴァンガ ワディ スワル(Sa,Re,GaMa)、ウッタランガ ワディ スワル(Pa,Dha,Ni,S?a)によって、午前に

演奏されるのか、午後に演奏されるのかが決定されます。 例えば、あるラーガがプールヴァンガ ワディ スワルを持っていたら、すなわちSa,Re,Ga,Maのうちの

どれかが、ワディ スワル(最も強調される音)だった場合、そのラーガはそれぞれの

時間割の昼12時から真夜中12時の間に演奏され、逆に、あるラーガがウッタランガ ワディ スワルを持っていた場合、そのラーガは時間割の真夜中12時から次の日の昼12時の間に演奏されるということです。

 各時間帯に演奏されるラーガ名を挙げると、

午前7時−10時 =ラーガ ビラワルRaga Bilawal(ビラワル タータ)

                                      など

午前10時−午後1時=

ラーガ トディRaga Todi    (トディ タータ)

          ラーガ アサワリRaga Asawari(アサワリタータ)

          ラーガ ジョウンプリRaga Jounpuri

(アサワリタータ)など

午後1時−午後4時=ラーガ ビンパラシRaga Bimpalasi

                          (カフィタータ)

          ラーガ ムルタニRaga Multani(トディ タータ)

                                    など

午後4時−午後7時(サンディ プラカーシュ サマイ)=

          ラーガ プールヴィRaga Poorvi(プルヴィ タータ)

          ラーガ マルワRaga Marwa   (マルワ タータ)

                                    など

午後7時−午後10時=

ラーガ ボパリRaga Bhopari(カルヤン タータ)

          ラーガ シュッダカルヤンRaga ShuddhaKalyan  

                             (カルヤン タータ)

                                     など

午後10時−午前1時=ラーガ バゲシュリRaga Bageshri(カフィ タータ)

                                     など

午前1時−午前4時= ラーガ アダナRaga Adana   (アサワリ タータ)

            ラーガ マルカウンスRaga Malkouns

                              (バイラビ タータ)

                                     など

午前4時−午前7時(サンディ プラカーシュ サマイ)=

           ラーガ ラリットRaga Lalit   (マルワ タータ)

           ラーガ バイラワRaga Bhairav(バイラワ タータ)

                                     など  

そしてもうひとつ、ラーガの演奏時間を決定する要素にマMa=Fの存在があります。

いくつかの例外を除いて、午前4時から午後4時の間に演奏されるほとんどのラーガ

はマMa=Fの音を含んでいます。例外としてはラーガ ソハニRagaSohani

(マルワタータ)、ラーガ ラムカリRaga Ramkali(カフィ タータ)、

ラーガヒンドールRaga Hindol(カルヤン タータ)、ラーガ トディRaga

Todi(トディ タータ)があげられます。それに対して、午後4時から午前4時まで

の間に演奏されるほとんどのラーガはティーブラ マTeevra Ma=F♯の音を

含んでいます。

ラーガの演奏

ラーガとは特定の音の上昇、下降を持つ作曲、即興演奏の為の規則です。各ラーガには

その特徴を成す音の並び(メロディー)があり、それがラーガのアイデンティティー

になっています。では実際にはラーガはどのように演奏されるのでしょうか。

ラーガを演奏する際、タンプーラ、といわれる各演奏家の基礎音階(PaSaSaS.a)を奏でる楽器と特定のタールを演奏する打楽器の伴奏が付きます。タンプーラの基礎音程はその演奏者によって異なりますが、男性の場合C、C♯、女性の場合、G〜Aが一般的です。そして、ラーガの演奏にはおおよその決まった順序があります。ここでは北インドの主流カヤル様式の、声楽についての順序を説明します。

(1) 演奏の順序

 ?アラープ Alaap(伴奏なし)

?バンディッシュBandish (作曲されたもの)(伴奏あり)

 ?スタイ Sthay

 ?アンタラ Antara

?サダ アラープ Sada Alaap(伴奏あり)

?ボール アラープ Bol Alaap (伴奏あり)  

?サルガム Sargam(サ レ ガ マ)(伴奏あり)

?ターン Taan (伴奏あり)

アラープ Alaap

アラープは前奏のことで、ここでは打楽器の伴奏は付きません。演奏者はその

ラーガの特徴的なメロディーをゆったりと歌い奏で、そのラーガの雰囲気を

作り出します。声楽の場合はあまり長い時間歌うことはありません。

アラープではそのラーガの*1ワディスワル、*2サンワディスワル、

*3ニャーススワル(Nyaas Swar)が節目となります。旋律はこれら

の音で長く留まり、次の旋律へと変わっていきます。これらの音はいわばジャンクションの役割をはたしています。

* 1:そのラーガの最も強調する音。

* 2:ワディスワルの4度ないしは5度の位置にある音。2番目に強調される音。

* 3:ワディ、サンワディスワル以外にそのラーガの強調される音。

?バンディッシュ Bandish

バンディッシュはそのラーガのあらかじめ作曲されたもの、のことをいいます。古くは18世紀にサダラング、アダラングによって作曲されたものから、演奏者自身が作曲

したものまで様々です。バンディッシュはそれぞれ特定のタール(リズムサイクル=

拍数)を基に作曲されており、演奏する際には、その特定のタールを演奏するタブラ等、打楽器の伴奏が付きます。バンディッシュは2つの要素で構成されています。

?スタイ Sthay。スタイはオクターブの低い音階(SaからMa,Pa)を中心にして作曲されたもの。しかし、仮にそのラーガのワディスワル(最も強調される音)

がMa,Paから上の音階の場合は、スタイも高い音階で構成されることがあります。

(ウッタランガ ワディ ラーガの場合)

?アンタラ Antara

アンタラはオクターブのMa,Paから上の音階を使って作曲されたもの。第二楽章のこと。

 

インド古典音楽に関しては、バンディッシュはあまり長いものはなく、例えば

スタイが2ライン、アンタラも2ラインぐらいが普通のサイズです。もっとも

作曲者によってはもっと長いものもあります。

声楽のバンディッシュにはメロディーと共に、歌詞があります。詩の内容は様々で

神々をたたえたもの、結婚に関したもの、恋愛に関したもの、祭りに関したもの、

等々。中世時代はイスラム帝国がインドを支配していたので、その時代には皇帝

や、アラーの神をたたえたものも数多く作られました。

 

?サダ アラープ Sada Alaap(伴奏あり)

バンディッシュを一通り歌い終えたあと、打楽器が一定のリズムで伴奏するのに合わせて歌われます。これは即興演奏で、歌い手は各ラーガの特徴を表現し、最初は低い音階から徐々に高い音階へと使用する音を変えていきます。アラープは基本的にゆったりとしたテンポで歌われ、その際はアカ−ルAkaar(歌詞はなく、すべて“ア”の発音で歌われる)が用いられます。

 

?ボール アラープ Bol Alaap (伴奏あり)

 ヒンディー語のボールBolの意味は「言う、言葉」です。前述のサダ アラープが

アカールで歌われたのに対して、ボール アラープはバンディッシュの歌詞を使って

歌う、即興演奏です。つまりバンディッシュの歌詞を作曲されたものとは違うメロディーで歌うことです。

 

?サルガム Sargam (伴奏あり)

サルガムとはインド音階の名称(Sa Re Ga Ma )の頭文字をとって付けられました。文字通り歌詞の変わりにSa Re Ga Ma Pa Dha Niの

音名とその音を使って歌われる即興演奏のことです。この場合、アラープのような

ゆったりとしたリズムよりも早いリズムで歌われます。

 

 

?ターン Taan (伴奏あり)

ターンはスピーディーな連続した音のつながりのことをいいます。これは基本リズムの

スピードの2,4,8倍等のスピードで歌われます。つまり、伴奏の打楽器が1拍叩く

間に、複数の音を歌うことです。例えば、16拍子のリズムサイクルで基本リズムが早い場合、

?   ?   ?   ?   ?   ?   ?   ?    ?   ?   ?   ?   ?   ?   ?   ?

サレ   ガマ  レガ  マパ ガマ  パダ  マパ ダニ   パダ  ニサ   ニダ  パマ  パマ  ガレ  マガ  レサ

SaRe GaMa ReGa MaPa GaMa PaDha MaPa DhaNi PaDha NiSa NiDha PaMa PaMa GaRe MaGa ReSa

このように1拍の中に2音づつ=(2倍のスピード)が、1サイクル歌われました。

ターンが基本リズムの2倍のスピードで歌われると、それをドゥグン キ ターン Dugun−Ki−Taan(2倍速のターン)、4倍のスピードだとチョウグン キ 

 ターンChougun−Ki−Taan(4倍速のターン)、等、呼ばれます。

              ターンの原則

(1)   ターンは最低2音、ないしはそれ以上の音数から構成される。

(2)   ターンはそれぞれ異なったスピードで構成される。2,3,4,8倍速等。

(3)ターンはカヤル、タッパ、トゥムリ様式では使用されるが、ドゥルパド様式では

使用されない。

(3)   ターンは基本的にアカールAkaar(「ア」の発音)で歌われる。

 

  ターンにはそれぞれいくつかの種類があります。

?シュッダ ターン Shuddha Taan

ターンがそのラーガ特定の音階の上昇、下降どおりに歌われるものを、シュッダ ターン

と呼びます。

例:ガ   レ  ガ   パ   ダ   ニ   サ   レ   サ   ニ   ダ   パ   マ   ガ   レ  サ

Ga  Re  Ga  Pa  Dha  Ni  S?a  R?e  S?a  Ni  Dha  Pa  Ma  Ga  Re  Sa 

 

?クート ターン Koot Taan

ターンが不規則な音の連続のものをクート ターンと呼びます。

例: サ   ガ   レ   ガ   パ   パ   マ   ガ   マ   パ   ガ   マ   ガ   レ  サ

   Sa   Ga   Re   Ga   Pa   Pa   Ma   Ga   Ma   Pa   Ga   Ma   Ga   Re   Sa

 

?ミシュラ ターン Mishra Taan

シュッダ ターンとクート ターンが混合したものをミシュラ ターンと呼びます。

例:二  サ   レ  パ   マ   パ   ダ   ニ   サ  ニ   ダ   パ   マ   ガ   レ  サ

    Ni  Sa  Re  Pa  Ma  Pa  Dha  Ni  S?a  Ni  Dha  Pa  Ma  Ga  Re  Sa             

 

?ガマック ターン Gamak Taan

ターンをガマックのテクニックを使って歌うものをガマック ターンと呼んでいます。

ガマックとは単音を連続して歌い、その音を揺らすテクニックのこと。

例: サ  サ  サ  サ レ  レ   レ  レ  ガ  ガ  ガ  ガ  マ  マ  マ  マ

    S^a S^a S^a S^a R^e R^e R^e R^e G^a G^a G^a G^a M^a M^a M^a M^a

 

 

 

?アランカリック ターン Alankarik Taan

ターンが一定の法則を持って上昇、下降するものを、アランカリック ターンと

呼んでいます。

例:サ   レ  ガ   レ  ガ   マ   ガ  マ   パ   マ   ガ   レ  マ   ガ  レ  サ

    Sa  Re  Ga  Re  Ga  Ma  Ga  Ma  Pa  Ma  Ga  Re  Ma  Ga  Re  Sa

 

?ボール ターン Bol Taan

ターンにバンディッシュの歌詞をつけて歌うものをボール ターンと呼んでいます。

例としてラーガバイラワのバンディッシュの一節、

ダナダナ ムーラタ クリシュナ ムラリ=DhanaDhana Murat Krishna Murari

をボール ターンで歌うと次のようになります。

ニ  サ  ガ   マ   パ   マ   ガ   マ  パ   ダ    パ   マ   ガ  マ   パ   ダ

Ni  Sa  Ga  Ma  Pa  Ma  Ga  Ma  Pa  Dha  Pa  Ma  Ga  Ma  Pa  Dha

ダ   s    ナ  s    ダ   s    ナ   s   ム    s    s    s   ラ    s   タ    s  

 

ニ  ダ   パ   マ   ガ  マ   パ   ダ    パ  マ   ガ   マ   ガ   レ  サ −

Ni  Dha  Pa  Ma  Ga  Ma  Pa  Dha  Pa  Ma  Ga  Ma  Ga  Re  Sa −

クリ  s    s    s  シュナ s    s    s   ム    s    s    s   ラ   s   リ   s

?チュート−キ−ターン Choot−Ki−Taan

音が連続ではなく、数音とばして移行するターンをチュート−キ−ターンと

呼んでいます。

例:ガ   ガ   レ  サ  ニ   ニ   ダ   パ   サ  ニ   ダ   パ   マ   ガ   レ  サ

  Ga  Ga  Re  Sa  Ni  Ni  Dha  Pa  S?a  Ni  Dha  Pa  Ma  Ga  Re  Sa

 

?サルガム−キ−ターンSargam−Ki−Taan     

基本的にアカール歌われるターンをその音の名前つまりサレガマパダニで歌うこと

をサルがム―キ−ターンと呼んでいます。

 

ラーガの演奏2

タールとラヤ Taal and Laya

タール Taal

インド音楽の特徴の1つにタールの使用があげられます。タールとは特定の符丁を

持った拍子(リズムサイクル)のことで、西洋音楽が基本的に2,3の倍数の拍子

しかないのに対して、インドのタールは6,8,9,10,11,15等々奇数拍子

も含め、その数は相当数にのぼります。打楽器奏者が特定の拍子数、特定の符丁を

繰り返し演奏し、それに合わせてメインの演奏、舞踊が演じられるのです。

その際、第1拍を特にサムSamと呼び、これを最も重要視しています。演奏者、

ダンサーは複雑なリズムのフレーズを即興演奏し、そして最後にその演奏はサム

Samで完結します。そして習慣的にサムに帰結する際には*ティハイTihay

が演じられます。演奏が最後に綺麗にサム(第1拍)に帰結するところに、インド

音楽の醍醐味があるといってもよいでしょう。

*ティハイ Tihay

ティハイとはある短いフレーズを3回繰り返し演奏して、その最後の音がサムSam

で終わることをいいます。例えば、タールTaalが16拍のリズムサイクルの場合、

5拍のフレーズを3回演奏して、1回目と2回目の間に1拍ずつの沈黙(ギャップ)

をいれると、繰り返されるフレーズ3回目の最後の音は次のサイクルの第1拍目に

なります。これがティハイです。

例:

拍子数:? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ?

ティハイ? ? ? ? ?   ? ? ? ? ?   ? ? ? ? ?

(5?3+2)−16=1=サムSam

同様に、タールが7拍のリズムサイクルの場合、5拍のフレーズを続けて3回演奏する。

拍子数:? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ?

    ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ?

 5?3−7?2=1=サムSam

前者のようなフレーズとフレーズのあいだに沈黙(ギャップ)があるものを

ダムダールティハイ、後者のようにギャップのないものを、べダムティハイ

と呼んでいます。

 

 そして、各タールにはそれぞれ異なった拍数の分節があります。これはつまり

一定の拍数のリズムサイクルを何拍かで区切って考えていると言うことです。

各節にはタリーTali=ON BEATとカリKhali=OFF BEATが

設定されています。これはメインの演奏者がタールを理解しやすいようにする

為です。ここでは声楽によく使われる代表的なタールを例にとって説明していきます。

(1)   ティーンタール Teen Taal(16拍子)

総拍子数:   16拍

節   :   4節

タリー :   サムSam?, ?, ?

カリ  :   ?          

総拍子数16拍のティーンタールは4拍毎の4つの節に別れています。?、?、?拍

目はON BEATでタリーTaliと呼ばれ、9拍目はOFF BEATでカリ

Khaliと呼ばれます。そして第1拍目はタールの主要拍で特にサムSamと呼ばれ

ています。サムの譜面上での表記は?、カリは0となります。

 

拍数:?   ?   ?   ?   ?  ?   ?  ?   ?  ?  ?  ?   ?   ?   ?  ?

符丁:Dha Dhin Dhin Dha  Dha Dhin Dhin Dha  Ta  Tin Tin Ta   Dha Dhin Dhin Dha

記号:?                  2                  0                3

ティーンタールは主に声楽カヤル様式のドゥルットラヤに用いられます。

 

元来譜面を持たなかったインド音楽ではタールを表すのに、手を打って符丁を発音

していました。前述のON BEATとは手を打ち合わせることで、OFF BEAT

とは手を打ち合わせないことです。こうした動作によって繰り返されて演奏されている

タールのサム、2番目のタリー、カリ、3番目のタリー=拍数を表すのです。

 そして、このカリOFF BEATは何故存在するのかというと、演奏者が、進行して

いるタールを認識する為です。インド音楽ではサムが最も重要な拍です。これを正しく

把握する為に目印となるものがカリなのです。

 

 それでは以下代表的なタールを紹介していきます。

 

 

(2)   ジャプタール Jhap Taal (10拍子)

総拍子数:   10拍

節   :   4節

タリー :   サムSam?,?,?

カリ  :   ?

総拍数10拍のジャプタールJhap Taalは2拍毎の2つの節と3拍毎の2つの節

の4節に分けられています。サムSam,?拍目、?拍目はON BEATタリー、

?拍目はOFF BEATカリ。

拍数: ?   ?   ?   ?   ?   ?  ?   ?   ?   ?

符丁: Dhi  Na   Dhi  Dhi  Na   Ti  Na   Dhi  Dhi  Na

記号: ?    2       0    3 

 (3)エクタール Ek Taal (12拍子)

総拍子数:    12拍

節      :   6節

タリー  :    サムSam?,?,?,?

カリ    :   ?,?

総拍子数12のエクタールは2拍毎の6節に分けられています。サムSam,?拍目、?

拍目、?拍目はON BEAタリー、?拍目、?拍目はOFF BEATカリ。

拍数: ?    ?      ?      ?      ?  ?   ?   ?    ?       ?      ?   ? 

符丁:Dhin  Dhin   DhaGe  Terekete   Tu  Na   Kat  Ta   DhaGe  Terekete   Dhi  Na

記号:?      0        2    0    3        4  

 

エクタールは特に声楽カヤル様式のビランビットラヤVilambit Laya

の演奏に多く用いられます。その際にはアティ ビランビットといって、1拍の長さを

4倍にしたものが演奏されます。

拍数: ?         ?        ?         ?          ?       ?

符丁:Dhin s s s Dhin s s s Dha s Ge s Te re ke te Tu s s s Na s s s

記号:?          0           2

 

    ?         ?        ?         ?           ?         ?

    Kat s s s  Ta s s s  Dha s Ge s Te re ke te  Dhin s s s Na s s s 

       0          3           4 

注、譜面のsは無声音。

 

 

 

(4)ルパック タール Rupak Taal(7拍子)

総拍子数:   7拍

節   :   3節

タリー :   ?、?

カリ  :   サムSam?,

総拍子数7のルパック タールは3拍と2拍毎の3つの節に別けられています。

このタールの特徴はサムSamにあたる第1拍がOFF BEATカリになります。

その為、下記表の1拍目が?の表記になっています。?拍目、?拍目はタリー。

拍数: ?   ?   ?    ?   ?    ?   ?

符丁: Ti   Ti   Na   Dhi   Na   Dhi   Na

記号: ?           2     3

 

 

 (5)チョウタール Chau Taal(12拍子)

総拍子数:   12拍

節   :   6節

タリー :   サムSam?,?,?,?

カリ  :      ?,?

総拍子数12のチョウタールは前述のエクタールと同様、2拍毎の6つの節に分けられています。サムSam,?拍目、?拍目、?拍目はON BEATタリー、?拍目、?拍目はOFF BEATカリ。

このタールは特に声楽ドゥルパド様式の演奏で用いられます。本来このタールは北インド打楽器のパカワジPakhawajで演奏されます。

拍数:?    ?     ?    ?    ?    ?    ?    ?    ?     ?     ?     ?

符丁:Dha   Dha   Dhin   Ta   Kite   Dha   Dhin   Ta   Tite   Kata   Gadi   Gana

記号:?      0      2     0     3      4  

 

 

(6)ディープ チャンディ タールDeep Chandi Taal(14拍子)

総拍子数:   14拍

節   :   6節 

タリー :   サムSam、?、?

カリ  :   ?

総拍子数14のディープ チャンディ タールは3拍毎の2節と4拍毎の2節の4節

に分けられています。サムSam、?拍目、?拍目はON BEATタリー、?拍目は

OFF BEATカリ。

このタールは声楽のトゥムリThumri様式の演奏に用いられます。

拍数: ?     ?    ?   ?    ?    ?   ?  ?   ?    ?  ?    ?     ?   ?

符丁: Dha   Dhin   s   Dha   Dha   Tin   s   Ta   Tin   s   Dha   Dha   Dhin   s

記号: ?        2          0       3  

注、譜面のsは無声音。

 

 

 (7)ダマール タール Dhamar Taal(14拍子)

総拍子数:   14拍

節   :   4節

タリー :   サムSam、?、?  

カリ  :   ?  

総拍子数14のダマール タールは5拍の1節、2拍の1節、3拍の1節、4拍の1節

の4節に分けられています。サムSam、?拍目、?拍目はON BEATタリー、

?拍目はOFF BEATカリ。

このタールは声楽のホーリーHoli=ダマール様式に用いられます。このタールも

本来パカワジ(打楽器)によって演奏されるタールです。

拍数: ?     ?    ?    ?   ?    ?  ?   ?   ?   ?   ?   ?   ?   ?

符丁: Kat   Dhi   Te   Dhi   Te   Ta   s   Ga   Ti   Te   Ti   Te   Ta   s

記号: ?              2    0              3

 

 

 (8)ダドラ タール Dadra Taal(6拍子)

総拍子数:   6拍子

節   :   2節

タリー :   サムSam 

カリ  :   ?

総拍子数6のダドラ タールは3拍毎の2節に分けられています。サムSamはON

BEATタリー、?拍目はOFF BEATカリ。

このタールは声楽ではバジャンBhajan(宗教歌)、器楽ではドゥンDhun等に

用いられ、その他、インド各地の民謡、ポップス、映画音楽等幅広く用いられています。

拍数:  ?     ?    ?   ?     ?    ?

符丁: Dha   Dhi   Na   Na   Dhi   Na

記号: ?                 0

 

 


 (9)カハルワタール Kaharwa Taal(8拍子)

総拍子数:   8拍

節   :   2節 

タリー :   サムSam

カリ  :   ?

総拍子数8のカハルワタールは4拍毎の2節に分けられています。サムSam

はON BEATタリー、?拍目はOFF BEATカリ。

このタールもバジャンBhajan,ガザルGazal(愛唱歌)などに用いられ

ています。そして、民謡、映画音楽等、幅広く使用されています。

このタールの符丁はバラエティが非常に多く、各楽曲に合わせた、テカTheka

が演奏されます。

注:テカ Theka とは特定の符丁のタールを伴奏することの意味です。

ここでは代表的な符丁を紹介します。

拍数:  ?    ?    ?   ?   ?   ?    ?   ?

符丁: Dha    Ge    Na   Ti   Na   Ka   Dhi   Na

記号: ?            0         

 

 

 

 (10)ティルワダ タール Tilwada Taal (16拍子)

総拍子数:   16拍子

節   :   4節

タリー :   サムSam,?,?

カリ  :   ?

総拍子数16のティルワダ タールは4拍毎の4節に分けられています。サムSam,

?拍目、?拍目はON BEATタリー、?拍目はOFF BEATカリ。

このタールは特に声楽カヤル様式のビランビットラヤで用いられます。

拍数: ?     ?       ?     ?    ?    ?   ?   ?

符丁:Dha  Terekete  Dhin  Dhin  Dha  Dha  Tin  Tin                        

記号:?              2

      ?      ?       ?     ?    ?    ?    ?    ?

Ta    Terekete  Dhin  Dhin  Dha  Dha  Dhin  Dhin

   0              3 


ラヤ Laya

 

ラヤ Layaとはタールの演奏される早さ(スピード=テンポ)のことをいいます。

ラヤには3つの種類があります。?ビランビットラヤVilambit Laya

?マディヤラヤMadhiya Laya?ドゥルットラヤDrut Laya

 

?ビランビットラヤ Vilambit Laya

これは遅いテンポの事をいいます。厳密には速さに指定があるわけではありません。

ラヤは演奏者自身が決定するものです。おおよその目安としては、45−60

 

?マディヤラヤ Madhiya Laya

これはビランビットラヤとよりも速く、ドゥルットラヤよりも遅いテンポのことを

いいます。おおよそビランビットラヤの2倍、ドゥルットラヤの2分の1のスピード。

 

?ドゥルットラヤ Drut Laya

速いテンポの事をいいます。おおよそマディヤラヤの2倍のスピード。

 

ラヤ(スピード)はバンディシュによって、その演奏者の好みによって、様々です。

しかし、習慣では最初にビランビットラヤから始まり、テンポが序々に上がり、

バンディシュを変えて、マディヤラヤないしはドゥルットラヤに移行し、ドゥルット

ラヤで演奏を修了するのが一般的です。それはつまり、ビランビットラヤでは前述

のアラープ等が主に演奏され、ドゥルットラヤではサルガム、ターン等が主に演奏

されるということです。

 ラヤはメインの演奏者が決めた一定のスピードで演奏されなければいけません。

途中で速くなったり、遅くなったりしてはラヤが正しくないことになります。

インド古典音楽では一定のラヤの中で非常に複雑なリズムが演奏される為に、ラヤ

を保つことはとても難しいことなのです。

 


インド声楽様式(スタイル)の種類

 元来インド古典音楽は声楽が主でした。器楽は歴史の中では新しいジャンルなのです。

そして、もともと器楽は声楽の模写から始まりました。それが後に価値を認められ、独自

に演奏の技術を考案した名演奏家達は自身の技術、知識を子孫、そして弟子達に伝え楽器演奏の流派を確立していきました。インド音楽家は他の職業がそうであるように、代々

世襲をされてきました。親から子にそして孫へとその家のスタイル、技術、そして秘伝

の技なども代々受け継がれているのです。この世襲制度は現在にも生きていて、各流派

の家元では子供のころからの音楽英才教育が行われているのです。その為、後継者がいないことで家元が断絶してしまった流派もあります。それ以外には弟子達がその流派を保存し広め、伝えていく役割をしています。

 長い歴史の中で、インド声学は数々の様式(スタイル)を確立しました。13世紀ごろ

のインドではラーガはプラバンダと呼ばれ、その歌様式の種類は18ありました。14世紀以降、イスラム帝国による北インドの統治が始まると、プラバンダは彼らイスラム教徒が西から持ってきた音楽と融合しました。その過程でいくつかの様式は廃れ、忘れ去られていったのです。ここでは現在も存続し、演奏されている歌様式を紹介したいと思います。 

 

 

ドゥルパド Durpad

ドゥルパド歌様式が確立されたのは15世紀、グワリオール(現マディヤ プラデーシュ)の王、ラジャ マン シン トマール(1486−1516)によるものだとされています。ドゥルパドを構成する要素は4つあり、それは ?ラーガRaga =スケール ?ラヤ Laya=テンポ ?タールTala=リズムサイクル ?ダトゥ  Dhatus= メロディー です。これは他の歌様式にも共通しています。ドゥルパドの特徴は 他のカヤル等と比べて、はっきりと、そして、純粋な形でラーガを演奏することです。一般的に歌は力強く、その歌詞がはっきりと解るように歌われます。

ドゥルパドは2つの部分から構成されています。1つはアラープ(前奏)、もう1つはバンディッシュ(楽曲)です。アラープには打楽器の伴奏は付きません。そしてその展開は例えばシタール等の楽器演奏と同様に、1 ゆっくりとしたテンポから始まり、2 そのテンポは少しずつ速くなっていき(Jod)、3 そのテンポは非常に速くなります(jhara)。その際カヤルのように「アカール=アの発音」ではなく、「Ta nom na Re de ri」といった言葉を使って歌われます。これを“ノントム”「nomtom」と呼んでいます。この言葉のオリジナルは「Om ananta Narayan  Hari ,オム アナンタ ナラヤン ハリ」です。


そして次にバンディッシュ(楽曲=作曲されたもの)が演奏されます。バンディッシュには4楽章があり、?スタイ Sthay(第一楽章) ? アンタラ Antara(第二楽章) ? サンチャリ Sanchari(第三楽章) ? アボーグ Abhog(第四楽章) の4つです。

?    スタイSthay=全音階の低い音(プールヴァンガ スワル)中心で構成され、作曲されたもの。 

?    アンタラAntara=全音階の高い音 (ウッタランガ スワル)を中心に構成され 作曲されたもの。

?    サンチャリSanchari=全音階のすべての音を使って作曲されたもの。

?    アボーグAbhog=これは構成が前述のサンチャリと一緒ですが、特徴として歌詞に作曲者、や そのパトロン(王や皇帝等)の名前が入ります。その中で、パトロンを褒め称えるのです。

ドゥルパドにおいては、カヤルで使われているターンTaanは使われません。ミーンド

Meend ,ガマック Gamak の音装飾テクニックのみが使用されています。そして、ドゥルパドの最大の特徴として、リズムの変速演奏があります。バンディッシュの歌詞を使用し、その基本テンポに対し2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、等 のスピードで演奏を展開します。これをラヤカリ(Layakali)とも言います。

ドゥルパドにおいて使用される代表的タールは

?    チョウタールChouTaal(12beats)

 

Dha Dha Din Ta Kite Dha Din Ta Tite  Kata  Gadi Gana

?      0     2      0     3       4

 

 

?    スールタールSoolTaal(10beats)

 

Dha  Dha Din  Ta Kite Dha Tite  Kata  Gadi Gana

?      0      2      3       0

 

 

? ティーブラタールTeevraTaal(7beats)

 

Dha   Din   Ta  Tite   Kata   Gadi  Gana

?            2        3

 

 

ドゥルパドの バニ Bani(流派)

バニというのはドゥルパド歌様式の流派のことで、それには各地域、家元の独自のスタイルがあり、それぞれ独自の発展をとげました。しかし現在においてはその独自のスタイル歌唱法の多くが失われてしまいました。それでもまったく絶えてしまったのではなく、

それぞれの家系に今も受け継がれています。その流派のそれぞれの名称はその地域の名前から付けられています。それらは下記のとおりです。

?      ゴバルハラバニ Gobarahara Bani

この流派はグワリオール Gwalior(現マディヤプラデーシュ)に於いて、かのミヤーンタンセンによって、確立されたものです。

 

? カンダリバニ Khandari Bani

これはカンダールKhandarという土地の王族であった、サモカン シン Samokhan Singh という人物によって確立されました。後に彼はタンセンの義理の息子になり、イスラム教徒に改宗し、その名をナウバット カーンと改めました。この流派は基本的に歌の流派ではなく、ビーナ(弦楽器)を演奏する流派です。

 

?    ダガールバニ Dagar Bani

現在のデリー近郊にあったダンガール Dangarの司祭階級(ブラフマン)にであったブラジ チャンド BrajChand によって確立されました。後に彼はイスラムに改宗しその名をチャンドカーン Chand Khanと改めました。

 

?    ノウハリバニ Nouhari Bani

これはノウハ―ル Nouharという土地の王族であったシュリチャンド Shri

Chandによって確立されました。彼もまた後にイスラムに改宗し、その名をスラジカーンSuraj Khanと改めました。

 

そして伝えられているところでは、今から80−90年ほど前に ジャイプール Jaipur(現ラジャスターン)の有名なドゥルパド歌手のバヘラムカーンUstad Baheram Khan によってアラープ−ジョド(ゆっくりとしたアラープから始まり

徐々にスピードを上げていき最後にはドゥルットの速さにまでなる、シタールなど器楽でも演奏されている)が紹介され、同時にNomTomの使用も始められました。

 

 

 


カヤル Khayal

「カヤル」はアラビア語が語源でその意味は想像=イマジネーションです。

カヤルはそれまでのドゥルパドにおいて演奏されていた純粋なかたちでのラーガをさらに発展させ、サルガムSargamやターンTaan等の技法を加えたものです。カヤルにおいては演奏家がラーガを展開する上での制約は基本的にありません。ラーガはその演奏家の能力、想像力により無限に広がりを持つことができるのです。しかし、それぞれのラーガが持つ音階の範疇を外れることなく、各ラーガの特徴、雰囲気を壊すことがないように演奏しなければなりません。

カヤル様式が始めて紹介されたのは14〜15世紀ですが、それが人気を得たのは18世紀、当時ムガル帝国を支配していたモハンマド シャー ランギーレ Mohanmad Shah Rangeele(1719−1740)の宮廷音楽家であったアダラング

AdaRangとサダラングSadaRang の二人の兄弟によるものです。彼等は何千ものカヤルバンディッシュを作曲し、それらは現在でも歌われています。そしてこの兄弟はミヤーンタンセンの子孫であるといわれています。

カヤルではまず伴奏なしのアラープが演奏されますが、ドゥルパドのように長くはありません。そして次にバンディッシュが演奏されます。バンディッシュはスタイ(第一楽章)、アンタラ(第二楽章)、の二つの楽章から成っています。スタイは全音階の低い音(SaからPa)で構成され、アンタラは全音階の高い音(MaからS?a)で構成されています。その後アラープ、ボールアラープ、サルガム、ターン等が演奏されます。

カヤルでは最初遅いテンポのビランビットカヤル VilambitKhayalそして速いテンポのドゥルットカヤル Drut Khayal、その他にも タラナ

Taranaなどが演奏されます。

 

カヤルに使用される代表的なタールは

?    エクタールEk Taal(12beats)

Dhin  Dhin   DhaGe  Terekete  Tu  Na   Kat  Ta   DhaGe  Terekete   Dhi  Na

?      0        2    0    3        4  

 

?    ティルワダタールTilwada Taal(16beats)

Dha  Terekete  Dhin  Dhin  Dha  Dha  Tin  Tin                        

?              2

 

Ta    Terekete  Dhin  Dhin  Dha  Dha  Dhin  Dhin

0              3 

 


?    ジュムラタール Jhoomra Taal

 

Dhin ?Dha tirakita Dhin Dhin Dhage tirakita

?          2     

Tin  ?Ta tirakita Dhin Dhin Dhage tirakita

0          3

 

?    ティーンタール TeenTaal

 

Dha Dhin Dhin Dha  Dha Dhin Dhin Dha  Ta  Tin Tin Ta   Dha Dhin Dhin Dha

?                  2                  0                3

 

 

カヤルのガラナ Gharana (流派)

ガラナの言葉の意味は「家族、家系」です。ガラナとは声楽、器楽、舞踊いずれの芸術にしろ一つの家族、または家系の人間が同じ芸事を三世代続けて行いそれを修練し、またそれが一般に受け入れられ、認知された場合に流派として成立します。声楽の場合、それぞれ家元に伝わる独自の技術や特徴は家系の人間や弟子に伝授され変わることなく維持されます。それらは具体的にはアラープ、ターン、ボールターンなどや、ラーガの演出方法などです。

以下カヤル様式のガラナ(流派)を紹介していきます。

 

? グワリオールガラナGwalior Gharana

このガラナ(流派)の開祖はナタン.ピール.バクシュ Nathan Peer Bakshで、彼はアダラング、サダラング兄弟の子孫です。このガラナは多くの有名歌手を輩出しました。現代ではパンディットジャスラジPt.JasRajが最も有名です。

グワリオールガラナの特徴は、

?    ドゥルパドの歌手のように力強く、はっきりとした発声をする。

?    ラーガを展開していく際、アラープに短いターンを挿入する。アラープはすべてアカールAkar(「ア」の発音)で歌われる。

?    ボールターン、ガマックターンがこの流派独特である。

?    タラナTaranaの演奏がこの流派の特徴である。

 

 

 

 

 

? ジャイプールガラナJaipur Gharana

このガラナ(流派)の開祖はモハマド.アリ.カーン“コティワル“Mohammad 

Ali Khan “Kothiwal”です。ジャイプールガラナの有名歌手としては、

アラッディヤ カーン Alladiya Khan, マリックアルジュンマンスール

Mallik Arjun Mansurなどがあげられます。ジャイプールガラナの特徴は

?      バンディッシュBandishが短いものが多い

?      発声は自然で、のどを開いて歌われる。

?      リズム(ラヤ)と旋律(スワル)両方が同等に関連している。

 

 

? デリーガラナ Delhi Gharana

このガラナ(流派)の開祖は有名なカヤル歌手のタンラス.カーンTanras Khanです。デリーガラナの有名歌手はチャンドカーン Chand Khan などです。

デリーガラナの特徴は

?      バンディッシュが芸術的である。

?      様々な種類のターンが演奏される。

?      ボールターンなど速いテンポでの演奏が最大の特徴。

 

 

? パンジャブガラナ Panjab Gharana

このガラナ(流派)はデリーガラナの開祖でもあるタンラス.カーンが始めたといわれていますが彼の弟子であるアリバクシュ Ali Bakhshとファテアリ FatehAliがパンジャブの地に定住し、その地域の気質や民謡などをとりいれて流派の特徴を作り上げました。この二人は“アリヤ−ファットゥー”という名で有名になりました。その他にはアリバクシュの息子のバデグラムアリカーン Bade Guram Ali Khanがこのガラナを世に知らしめました。パンジャブガラナの特徴は

?      楽曲の雰囲気が陽気で軽快。

?      規則的なワックラ(音が1音以上飛び越す)ターンの演奏。

?      バンディッシュが芸術的である。

?      タッパ様式の使用。

?      ターンの使用が多くトゥムリも巧妙に歌いこなす。

 

 

 

? キラナガラナ  Kirana Gharana

このガラナ(流派)は有名なビーナ奏者バンデアリカーン Bande Ali Khanが開祖だと言われています。このガラナを有名にし確立したのはアブドゥルカリムカーン Abudul Karim Khan とアブドゥルワヒッドカーン Abudul Wahid Khanの二人でした。特にアブドゥルカリムカーンのその不思議な魅力を持った歌声は聴く者を魅了しました。現代ではウスタッド アミールカーン Ustad Amir Khan、ヒラバイ バロドカール Hirabai Barodkar、

ビンセン ジョシ Bhimsen Joshiなどが有名です。

キラナガラナの特徴は

?      発声の仕方に独特の方法。

?      歌詞よりもメロディーを優先。

?      1音1音ゆっくりと移行していく。

?      ミーンド、ガマックターンの使用。

 

 

? アグラガラナ Agra Gharana

このガラナ(流派)はアラクダース Alakh Das、マルクダース Maluk Das

の二人が開祖と言われていますが、真実はタンセンの娘婿のハジスジャン Haji

Sujanが創始者です。その後クダバクシュ Khuda Bakhshによってこのガラナの名前が大いに広まりました。アグラガラナはグワリオールガラナとの深い関連があります。何故ならクダバクシュはグワリオールガラナのナッタンパリバクシュからカヤル様式を習得したからです。このガラナの最も有名な歌手にはウスタッドファヤ−ズカーンUstad Fayaz Khanがいます。アグラガラナの特徴は

? “ノントム”でのアラープ(ドゥルパド様式)。

? 装飾されたバンディッシュとラヤカリ(=リズムの変化)。

? はっきりとした発声と高い声。

?      カヤル様式と共にドゥルパド、ダマール様式も巧み。

?      ボールターンの使用が多い

 

 

 

 

 

 

 

 

タッパ− Tappa

この歌様式はラクノウ(現ウッタルプラデ−シュ州)のナワブ(王)アシフウディオウル

Asifudhyoulの宮廷に仕えていたパンジャブ出身の音楽家ショリミヤーン

shori Miyanが故郷パンジャブの駱駝使いが歌っていた民謡の技法を取り入れて創りだしたものです。これは曲の全篇にボールターンが挿入され、歌詞は多くがパンジャブ語で歌われます。楽曲は本来短く、スタイ(第一楽章)、アンタラ(第二楽章)の二つの楽章から成っています。タッパ−で歌われるラーガは多くがラーガカフィ、ラーガジンジョティ、ラーガバイラビ、ラーガカマージ等です。タッパ−に使用される代表的なタールはパンジャビタール PanjabiTaal(16beats)です。

 

Dha −Dhi −ka Dha  Dha −Dhi −ka Dha   Ta −Ti −ka Ta   Ta −Dhi −Ka Dha

?         2           3         4

 

 

トゥムリ Thumuri

この様式で歌われるラーガは前述のタッパ−様式と同じです。トゥムリもカヤル、タッパ−同様スタイ(第一楽章)とアンタラ(第二楽章)の二つの楽章から成っています。そしてその歌詞は短い物がほとんどです。タッパ−との大きな違いはボールターンの使用が少なく、短い歌詞の一節ごとを区切って即興でメロディーをつけていく点にあります。演者のセンスによって大きく違いが出てくるスタイルです。トゥムリの発祥はタッパ−と同じくラクノウで、特にラクノウ、そしてバラナシでよく歌われます。

 トゥムリの最大の特徴として挙げられるのは、楽曲の美しさを引き出す為に複数のラーガを混合させることにあります。したがってそこで歌われるメロディーは自在に変化し